

真菌は、カビや酵母などに分類される微生物です。白癬(水虫・たむしなど)、皮膚カンジダ症、腟カンジダ症、口腔カンジダ症、爪白癬、深在性真菌症などを起こします。真菌症は、感染した部位、原因となる真菌、免疫状態、糖尿病や血液疾患の有無、抗菌薬・ステロイド・免疫抑制薬の使用状況などによって、必要な治療が異なります。
抗真菌薬は、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの合成を妨げる薬、細胞膜を直接障害する薬、細胞壁の合成を抑える薬などに分かれます。細菌用の抗菌薬では真菌症を治療できません。また、皮膚のかゆみや発疹は湿疹、細菌感染、薬疹などでも起こるため、見た目だけで真菌症と決めつけないことが重要です。
| 種類 | 成分の例 | 用途と役割 |
|---|---|---|
| アゾール系外用抗真菌薬 | ルリコナゾール、ラノコナゾール | 白癬、皮膚カンジダ症、癜風などで、皮膚の真菌増殖を抑える |
| アリルアミン系・ベンジルアミン系外用抗真菌薬 | テルビナフィン塩酸塩(アリルアミン系)、ブテナフィン塩酸塩(ベンジルアミン系) | 主に白癬などで、真菌細胞膜のエルゴステロール合成を阻害する |
| 内服アゾール系抗真菌薬 | フルコナゾール、イトラコナゾール | カンジダ症、クリプトコッカス症、深在性真菌症などで、製品ごとの適応に応じて用いる |
| 内服アリルアミン系抗真菌薬 | テルビナフィン塩酸塩 | 爪白癬などで、全身から真菌の増殖を抑える |
| ポリエン系抗真菌薬 | アムホテリシンB、ナイスタチン | 深在性真菌症や口腔・消化管のカンジダ症などで、製剤ごとの適応に応じて用いる |
| キャンディン系抗真菌薬 | ミカファンギンナトリウム、カスポファンギン酢酸塩 | 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症などの深在性真菌症で用いる注射薬 |
足白癬、体部白癬、股部白癬などの皮膚糸状菌症では、ルリコナゾール、ラノコナゾール、テルビナフィンなどの外用抗真菌薬が用いられます。アゾール系はエルゴステロール合成に必要な酵素を阻害し、アリルアミン系はその合成経路の別の段階に作用します。どちらも真菌の細胞膜機能に関わる治療ですが、対象となる真菌や製剤の適応範囲は一律ではありません。
爪白癬では、爪の奥まで真菌が入り込むため、外用薬だけでは十分でない場合があります。内服テルビナフィンや、爪白癬に適応を持つ外用製剤が選択されることがあります。爪の変色・肥厚は乾癬、外傷、加齢変化でも起こるため、治療前に真菌検査を行って確認することが重要です。
外用薬は、症状が見える部分だけでなく、感染範囲や周囲皮膚を踏まえて使うよう指示されることがあります。使用部位を清潔に保つことは大切ですが、強くこすりすぎると皮膚の傷を悪化させることがあります。
フルコナゾールはアゾール系の抗真菌薬で、真菌細胞のエルゴステロール生合成に関わる酵素を阻害します。国内の電子添文では、カンジダ属およびクリプトコッカス属による真菌血症、呼吸器真菌症、消化管真菌症、尿路真菌症、真菌髄膜炎、造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防、カンジダ属に起因する腟炎・外陰腟炎が効能又は効果として示されています。PMDA:フルコナゾールカプセル 電子添文
イトラコナゾールは、深在性真菌症、表在性真菌症、爪白癬などで使われる製剤がありますが、剤形による吸収の違い、肝機能への影響、薬物相互作用に注意が必要です。胃酸を抑える薬などが吸収に影響する製剤もあるため、併用薬を必ず確認します。
アムホテリシンBは真菌の細胞膜に結合して膜を障害する薬で、重症の深在性真菌症に用いられることがあります。ミカファンギンやカスポファンギンは、真菌細胞壁の構成成分であるβ-D-グルカンの合成を阻害するキャンディン系薬です。これらは主に注射薬であり、入院中や専門的な管理下で使われることが多い薬です。
抗真菌薬には、クリーム、液剤、ローション、スプレー、外用液、爪に塗る外用薬、腟錠、内服カプセル・錠剤、注射薬があります。皮膚の表在性真菌症では外用薬が中心になることがありますが、爪、毛髪、広い範囲の病変、深部臓器に及ぶ感染、免疫機能が低下した人の感染では、内服薬や注射薬が検討されます。
真菌の種類や感染部位によっては、薬が届きにくいことがあります。皮膚、爪、口腔、腟、肺、血液、髄液では必要な薬の濃度や投与経路が異なるため、同じ「カビの薬」を別の部位に流用することはできません。
PMDA:医療用医薬品情報検索(電子添文・効能又は効果・安全性情報)
PMDA:フルコナゾールカプセル 電子添文(深在性真菌症・カンジダ症に関する効能又は効果)