

排尿に関する薬は、尿をためる働きが過剰な状態を抑える薬、尿道や前立腺周囲の緊張をゆるめて尿を出しやすくする薬、前立腺を小さくする方向に働く薬などに分かれます。尿路結石では、痛みへの対応、結石排出の補助、再発予防のための原因評価が重要になります。
排尿回数が多い、急に尿意が強くなる、尿が出にくい、尿が残る感じがあるといった症状は、過活動膀胱や前立腺肥大症だけでなく、尿路感染症、尿路結石、神経の病気、がんなどでも起こり得ます。肉眼的血尿、発熱を伴う排尿痛、背中や脇腹の強い痛み、まったく尿が出ない状態は、早めの受診が必要です。
| 種類 | 成分の例 | 用途と役割 |
|---|---|---|
| α1遮断薬 | タムスロシン塩酸塩、シロドシン、ナフトピジル | 前立腺・尿道の平滑筋をゆるめ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する |
| 5α還元酵素阻害薬 | デュタステリド(前立腺肥大症用製剤) | 前立腺肥大症で前立腺容積の縮小を目的に用いる。脱毛症用製剤とは適応が異なる |
| 抗コリン薬 | ソリフェナシンコハク酸塩、イミダフェナシン | 膀胱の不随意な収縮を抑え、過活動膀胱に伴う尿意切迫感や頻尿などを改善する |
| β3受容体作動薬 | ミラベグロン、ビベグロン | 膀胱をためるときにゆるみやすくし、過活動膀胱の蓄尿症状を改善する |
| 排尿筋収縮促進薬 | ベタネコール塩化物、ジスチグミン臭化物 | 膀胱収縮が弱い状態などで、製品ごとの適応に応じて排尿を助ける |
| 尿路結石関連薬 | クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合剤、ウラジロガシエキス | 尿のアルカリ化や、腎結石・尿管結石の排出促進など、成分と製剤の適応に応じて用いる |
前立腺肥大症では、前立腺の大きさそのものに加え、前立腺や尿道の平滑筋が緊張することが尿の出にくさに関係します。タムスロシン、シロドシン、ナフトピジルなどのα1遮断薬は、前立腺や尿道の平滑筋をゆるめ、尿の勢いが弱い、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状の改善を目指します。タムスロシン塩酸塩の電子添文では、効能又は効果として「前立腺肥大症に伴う排尿障害」が示されています。PMDA:タムスロシン塩酸塩OD錠 電子添文
デュタステリドなどの5α還元酵素阻害薬は、男性ホルモン代謝に関わる酵素を阻害し、前立腺の縮小を目的に用いられます。効果の現れ方や適する人はα1遮断薬と異なるため、前立腺の大きさ、症状、残尿量、合併症の有無などを踏まえて選択されます。
過活動膀胱は、急に我慢しにくい尿意が起こる尿意切迫感を中心に、頻尿や切迫性尿失禁を伴うことがある状態です。抗コリン薬は膀胱のムスカリン受容体を介した収縮を抑え、β3受容体作動薬は膀胱をためる段階での弛緩を促すことで、蓄尿症状の改善を目指します。
抗コリン薬では、口渇、便秘、かすみ目、排尿困難などが起こることがあります。緑内障や尿が出にくい状態などで注意が必要な場合があるため、眼科疾患や前立腺肥大症、便秘の有無を医療者に伝えることが重要です。β3受容体作動薬では血圧への影響などを確認します。
尿路結石は、カルシウム、尿酸、シスチンなど結石の成分によって予防法が変わります。クエン酸製剤は尿をアルカリ性に傾けたり、尿中クエン酸を補ったりする目的で用いられることがありますが、すべての結石に同じように使う薬ではありません。結石の成分、尿検査、腎機能、血液検査、画像検査などに基づく判断が必要です。
結石による強い痛みには鎮痛薬が使われますが、発熱、悪寒、尿が出ない、腎機能低下を伴う場合は、尿路閉塞と感染が同時に起きている可能性があり緊急性があります。水分摂取の方法を含む再発予防も、心臓・腎臓の病気など個別の条件によって変わります。
排尿障害の薬は錠剤、口腔内崩壊錠、カプセル、貼付剤などがあります。飲み忘れや嚥下状態、日常生活への影響を考慮して剤形が選ばれます。前立腺肥大症と過活動膀胱が併存する場合には、異なる仕組みの薬を組み合わせることがありますが、尿閉の危険や副作用を確認しながら治療を進めます。
PMDA:医療用医薬品情報検索(電子添文・効能又は効果・安全性情報)
PMDA:タムスロシン塩酸塩OD錠 電子添文(前立腺肥大症に伴う排尿障害)
一般社団法人日本泌尿器科学会:泌尿器疾患の診療ガイドライン・学術情報