寄生虫・原虫を駆除する薬

寄生虫・原虫を駆除する薬

寄生虫・原虫を駆除する薬は、寄生虫や原虫による感染症に対して用いる医療用医薬品です。対象は腸管寄生虫だけではなく、糞線虫、包虫、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、腟トリコモナスなど多岐にわたります。原因となる生物、感染した部位、重症度、妊娠の可

寄生虫・原虫を駆除する薬


寄生虫・原虫を駆除する薬は、寄生虫や原虫による感染症に対して用いる医療用医薬品です。対象は腸管寄生虫だけではなく、糞線虫、包虫、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫、腟トリコモナスなど多岐にわたります。原因となる生物、感染した部位、重症度、妊娠の可能性、肝臓や腎臓の状態により、適切な薬と治療計画は異なります。


寄生虫感染症は、渡航歴、飲食歴、動物との接触、免疫状態などが診断の手がかりになります。しかし、下痢、腹痛、皮膚症状などはほかの病気でも起こるため、便検査、血液検査、内視鏡検査、画像検査などで原因を確認してから治療方針を決めます。症状から自己判断で市販薬や残薬を使うことは適切ではありません。





種類 成分の例 用途と役割
駆虫薬 イベルメクチン 腸管糞線虫症、疥癬で寄生虫に作用する
駆虫薬 アルベンダゾール 国内では包虫症に対して承認されている
抗原虫薬 メトロニダゾール アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症、トリコモナス症などで用いる
腸管アメーバ治療薬 パロモマイシン硫酸塩 腸管内に残存する赤痢アメーバのシストに対する治療で用いる
抗マラリア薬 アトバコン・プログアニル塩酸塩 マラリアの治療または予防で、承認された対象・条件に従って用いる
先天性トキソプラズマ症の発症抑制薬 スピラマイシン トキソプラズマ初感染が疑われる妊婦に使用し、先天性トキソプラズマ症の発症抑制を目的とする


原因によって薬は変わる


原虫は単細胞の病原体で、赤痢アメーバやランブル鞭毛虫、腟トリコモナスなどが含まれます。メトロニダゾールは、トリコモナス症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症などに承認されていますが、嫌気性菌感染症などにも使われる成分です。同じ成分でも、製剤や効能・効果によって対象とする疾患が異なるため、処方の目的を確認する必要があります。メトロニダゾール(フラジール)の電子添文情報


赤痢アメーバ症では、組織へ侵入した原虫に対する治療だけでなく、腸管に残るシストへの対応が必要になる場合があります。国立健康危機管理研究機構は、侵襲性アメーバ赤痢でニトロイミダゾール系薬剤の後に、残存シストに対してパロモマイシンを続ける治療を案内しています。国立健康危機管理研究機構「赤痢アメーバについて」


アルベンダゾールの国内承認範囲


アルベンダゾールは海外でさまざまな蠕虫症に用いられることがありますが、国内の医療用医薬品としての代表製剤であるエスカゾール錠200mgの効能・効果は包虫症です。一般的な腸内寄生虫薬として紹介することは、国内での承認範囲を正確に反映しません。包虫症は、画像検査などにより評価し、薬物治療、手術、経皮的治療などを含めて専門的に方針を検討する疾患です。アルベンダゾール(エスカゾール)の電子添文情報


剤形と使い分け


内服錠、カプセル、顆粒、腟錠、注射剤などがあります。たとえばメトロニダゾールには内服薬、腟錠、点滴静注液があり、疾患や感染部位、内服の可否によって剤形が選ばれます。イベルメクチンは、腸管糞線虫症や疥癬に対して内服で用いられる薬です。


感染症によっては、本人だけでなく、同居家族や性的パートナーの検査・治療、衛生対策、再感染予防が問題になることがあります。対応の範囲は疾患ごとに異なるため、医療機関の説明に従うことが重要です。


注意点


  • 寄生虫・原虫感染症は、原因の特定が治療薬選択に直結します。便の状態や皮膚症状だけで薬を選びません。

  • 妊娠中・妊娠の可能性がある場合、授乳中、小児では使える成分や注意事項が異なります。

  • メトロニダゾールでは、併用薬や飲酒に関する注意を含め、添付文書と医療者の説明を確認します。

  • イベルメクチン、アルベンダゾールなどは、対象疾患と国内承認の範囲を区別することが必要です。

  • 発熱、血便、強い腹痛、黄疸、意識の変化などがある場合は、自己対処を続けず速やかに医療機関へ相談します。


寄生虫・原虫の治療は、感染した病原体を排除することに加え、重症化、再感染、感染源への対策を含めて行われます。個々の製品の適応は必ず電子添文で確認します。


PMDA「ストロメクトール錠 添付文書」


国立健康危機管理研究機構「赤痢アメーバについて」


PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」


PMDA スピラマイシンの電子添文