血液細胞の産生を助け鉄を補う薬

血液細胞の産生を助け鉄を補う薬

血液細胞の産生を助け鉄を補う薬は、赤血球、白血球、血小板などの産生低下や、鉄不足による貧血の治療を支える医療用医薬品です。血液細胞は骨髄で作られ、赤血球は酸素を運び、白血球は感染から体を守り、血小板は止血に関わります。どの細胞が減っているか

血液細胞の産生を助け鉄を補う薬は、赤血球、白血球、血小板などの産生低下や、鉄不足による貧血の治療を支える医療用医薬品です。血液細胞は骨髄で作られ、赤血球は酸素を運び、白血球は感染から体を守り、血小板は止血に関わります。どの細胞が減っているか、原因が鉄不足・腎臓病・がん薬物療法・骨髄の病気・出血などのどれかによって、必要な治療は異なります。


貧血は「鉄剤を飲めばよい」とは限りません。鉄欠乏性貧血、腎性貧血、ビタミン不足、慢性炎症、出血、血液疾患など原因はさまざまです。成分ごとの承認用途と検査結果を確認し、原因疾患への対応とともに治療を行います。


主な種類と代表成分





種類 成分の例 用途と役割
経口鉄製剤 クエン酸第一鉄ナトリウム 鉄欠乏性貧血で鉄を補い、ヘモグロビンの材料を供給する
静注鉄製剤 カルボキシマルトース第二鉄 経口鉄剤が使用できない、または効果不十分な鉄欠乏性貧血などで鉄を補充する
赤血球造血刺激因子製剤 エポエチン ベータ ペゴル 腎性貧血で赤血球の産生を助ける
赤血球造血刺激因子製剤 ダルベポエチン アルファ 腎性貧血、骨髄異形成症候群に伴う貧血などで赤血球産生を促す
G-CSF製剤 フィルグラスチム がん薬物療法などに伴う好中球減少症で好中球の産生を促す
持続型G-CSF製剤 ペグフィルグラスチム がん薬物療法による発熱性好中球減少症の発症抑制に用いられる
トロンボポエチン受容体作動薬 ロミプロスチム 慢性特発性血小板減少性紫斑病などで血小板産生を促す


鉄を補う薬の役割


鉄は、赤血球中のヘモグロビンを作るために必要な栄養素です。鉄が不足すると、酸素を運ぶ力が低下し、息切れ、動悸、疲れやすさ、顔色不良などを生じることがあります。クエン酸第一鉄ナトリウムなどの経口鉄製剤は、鉄欠乏性貧血で鉄を補う目的に用いられます。


経口鉄剤で十分な補充が難しい場合、吸収に問題がある場合、速やかな補充が必要と判断される場合などには、静注鉄製剤が選択されることがあります。静注鉄製剤は医療機関で投与され、過敏症、低リン血症などを含む副作用を確認しながら使用されます。


赤血球の産生を助ける薬


エリスロポエチンは、主に腎臓で作られ、骨髄に赤血球を作るよう働きかけるホルモンです。慢性腎臓病ではエリスロポエチンが不足し、腎性貧血が起こることがあります。エポエチン ベータ ペゴルやダルベポエチン アルファは、赤血球造血刺激因子製剤として、製剤ごとの承認範囲内で腎性貧血などに用いられます。


赤血球造血刺激因子製剤は、鉄が不足していると十分に作用しにくいことがあります。また、ヘモグロビン値の変化、血圧、血栓症のリスクなどを確認する必要があります。貧血の原因が腎臓病以外にある場合もあるため、検査に基づく判断が大切です。


白血球・血小板を増やす薬


フィルグラスチムやペグフィルグラスチムは、好中球の産生を促すG-CSF製剤です。がん薬物療法などに伴って好中球が減少すると、細菌感染症が重症化しやすくなります。これらの薬は、好中球減少症の治療や、発熱性好中球減少症の発症抑制を目的に、治療内容とリスクに応じて用いられます。


ロミプロスチムは、トロンボポエチン受容体を刺激し、血小板産生を促す薬です。慢性特発性血小板減少性紫斑病などで用いられます。血小板を増やす治療では、出血を抑える必要性だけでなく、血小板が増え過ぎることによる血栓症の危険も考慮します。


注意したいこと


  • 黒い便、血尿、月経量の著しい増加、吐血、原因不明の体重減少などがある場合は、鉄不足の背景に出血性疾患がないか確認が必要です。

  • 経口鉄製剤では、吐き気、腹痛、便秘、下痢、便が黒くなることがあります。ほかの薬の吸収に影響する場合もあります。

  • 静注鉄製剤では、過敏症や低リン血症などに注意が必要です。投与後の体調変化は医療者へ伝えてください。

  • 赤血球造血刺激因子製剤では、高血圧、血栓塞栓症、急激なヘモグロビン上昇などに注意が必要です。

  • G-CSF製剤では、骨痛、発熱、まれに脾臓の異常や重いアレルギー反応などが問題になることがあります。


参考情報


PMDA 医療用医薬品情報検索(鉄製剤・造血因子製剤の電子添文)


一般社団法人日本血液学会


日本腎臓学会


PMDA ミルセラの承認資料