検体を調べる体外診断用医薬品

検体を調べる体外診断用医薬品

体外診断用医薬品は、血液、尿、便、唾液、組織など、人体から採取した検体を体外で調べるための製品です。患者に直接投与する治療薬ではありません。医薬品医療機器等法上、専ら疾病の診断に使用することを目的とし、人または動物の身体に直接使用されないも

体外診断用医薬品は、血液、尿、便、唾液、組織など、人体から採取した検体を体外で調べるための製品です。患者に直接投与する治療薬ではありません。医薬品医療機器等法上、専ら疾病の診断に使用することを目的とし、人または動物の身体に直接使用されないものと定義されています。検査室、医療機関、検査センターなどで用いられ、診断、病状の把握、治療効果や安全性の確認を支えます。


検体中の何を調べるのか


体外診断用医薬品には、検体中の成分や病原体、抗体、遺伝子変異などを検出・測定する試薬、標準物質、コントロール物質が含まれます。たとえば血糖やHbA1cの測定、心筋トロポニンの測定、インフルエンザ・新型コロナウイルスなどの抗原・核酸検査、がんの遺伝子変異検査、血液型検査などが該当します。


検査の陽性・陰性、数値の高低は重要な情報ですが、それだけで病気の有無や重症度を完全に決められるとは限りません。採取時期、採取方法、検体の保存状態、基礎疾患、薬剤、検査法の性能などで結果が変わることがあります。医師は症状、診察、画像、他の検査結果と合わせて解釈します。





種類 成分の例 用途と役割
生化学検査試薬 グルコース測定用試薬、HbA1c測定用試薬 血糖や長期的な血糖管理の指標を測定し、糖代謝異常の診断・経過評価を補助します。
免疫測定試薬 心筋トロポニンI測定用試薬、BNP測定用試薬 心筋障害や心不全の評価を補助します。結果は症状、心電図、画像検査などと組み合わせます。
感染症抗原検査試薬 SARS-CoV-2抗原検出用試薬、インフルエンザウイルス抗原検出用試薬 鼻腔・咽頭などの検体から抗原を検出し、感染症の診断補助に用います。
核酸検査試薬 SARS-CoV-2核酸検出用試薬、HBV DNA測定用試薬 病原体の核酸を検出・定量し、感染の診断や経過観察を補助します。
血液型検査試薬 抗A、抗B、抗D(RH1)血液型判定用試薬 輸血時の血液型判定や適合確認を支えます。
遺伝子関連検査試薬 EGFR遺伝子変異検出用試薬、HER2検出用試薬 がんの遺伝子・タンパク質の特徴を調べ、治療選択を補助するコンパニオン診断などに用いられます。


治療薬との違い


体外診断用医薬品は、採取済みの検体に試薬を加えて反応を起こし、その結果を測定します。薬を飲む、塗る、注射するように患者の身体へ投与するものではなく、病気を直接治療するものでもありません。この点で、造影剤や負荷試験薬、放射性医薬品のように患者へ投与して情報を得る診断用医薬品とは異なります。


一部の検査は、特定の治療薬を使う前に必要になることがあります。これがコンパニオン診断です。たとえば、ある遺伝子変異やタンパク質の発現を確認して、効果が期待される薬剤や安全性に注意が必要な患者を見極めます。ただし、検査が陽性であっても、治療の適否は病期、臓器機能、既往治療、全身状態などを含めて判断されます。


検査法による違い


抗原検査は、病原体などのタンパク質を検出する方法です。比較的短時間で結果が得られる一方、検体採取の部位・時期や体内にある抗原量によって検出しにくい場合があります。核酸検査は、病原体の遺伝子を検出する方法で、検査系によって定性・定量、対象遺伝子、所要時間が異なります。


血液検査でも、同じ項目を測っているように見えて、測定原理、単位、基準範囲、機器・試薬の組み合わせが異なる場合があります。過去の結果との比較では、同じ医療機関・同じ方法で測定されたかも解釈に影響します。自己採取型の検査キットを含め、承認・認証・届出の区分、検体採取や判定の方法を確認することが重要です。


結果を受け取る際の注意点


  • 検体の採取時期や方法が適切でないと、偽陰性・偽陽性を含む誤った結果につながる可能性があります。

  • 陽性・陰性のみで自己診断せず、症状や接触歴、基礎疾患を含めて医療者の説明を受けます。

  • 遺伝子検査では、検査対象、結果が示す範囲、本人・家族への影響、個人情報の扱いを確認します。

  • 採血や検体採取が必要な検査は、治療薬の中止・継続を自己判断で行わず、担当医の指示に従います。


参考情報


PMDA「体外診断用医薬品」


PMDA「体外診断用医薬品 添付文書等情報検索」


厚生労働省「体外診断用医薬品の取扱いについて」