皮膚・傷の修復と発毛を助ける薬

皮膚・傷の修復と発毛を助ける薬

皮膚・傷の修復と発毛を助ける薬には、乾燥して硬くなった皮膚の状態を整える外用薬、褥瘡や皮膚潰瘍の治療を補助する薬、円形脱毛症などに対して発毛を促す目的で用いる薬が含まれます。皮膚の傷や脱毛は見た目だけの問題ではなく、感染、痛み、歩行や睡眠へ

皮膚・傷の修復と発毛を助ける薬


皮膚・傷の修復と発毛を助ける薬には、乾燥して硬くなった皮膚の状態を整える外用薬、褥瘡や皮膚潰瘍の治療を補助する薬、円形脱毛症などに対して発毛を促す目的で用いる薬が含まれます。皮膚の傷や脱毛は見た目だけの問題ではなく、感染、痛み、歩行や睡眠への影響、基礎疾患の悪化などにも関係するため、原因の見極めが大切です。


「傷に使う薬」「発毛を促す薬」といっても、適応は成分ごとに限られます。熱傷に使える薬がすべてのやけどに使えるわけではなく、褥瘡の薬が切り傷や手術創に使えるわけでもありません。また、脱毛には円形脱毛症、男性型脱毛症、女性型脱毛症、薬剤性脱毛、甲状腺疾患や鉄欠乏などによる脱毛があり、治療法は異なります。





種類 成分の例 用途と役割
保湿・角質軟化薬 尿素、ヘパリン類似物質 乾燥や角化を伴う皮膚疾患で、保湿や角質の軟化を目的に用いる
創傷治癒促進薬 トラフェルミン 褥瘡、皮膚潰瘍のうち承認された病態で、肉芽形成や血管新生を促す目的で用いる
褥瘡・皮膚潰瘍治療薬 ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジル アルファデクス、トレチノイントコフェリル 創面の血流、肉芽形成、表皮形成などを考慮し、傷の状態に応じて用いる
外用副腎皮質ステロイド ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル 湿疹・皮膚炎などの炎症を抑える。感染を伴う傷や潰瘍への使用には注意が必要
円形脱毛症治療薬 バリシチニブ、リトレシチニブ 重症の円形脱毛症で、免疫反応に関わる経路を抑え、発毛を促す目的で用いる
男性型脱毛症治療薬 フィナステリド、デュタステリド 男性における男性型脱毛症で、男性ホルモン代謝に関わる作用を抑える


傷の治療は「創の状態」を見て選ぶ


褥瘡や皮膚潰瘍の治療では、圧迫を減らすこと、血流や栄養状態を整えること、感染や壊死組織を評価すること、適切な被覆材を選ぶことが基本になります。外用薬だけで治す治療ではありません。浸出液の量、感染の有無、壊死組織の有無、肉芽の状態、傷の深さや周囲皮膚の状態により、洗浄、デブリードマン、外用薬、被覆材、手術などを組み合わせます。


トラフェルミンは線維芽細胞増殖因子に関わる薬で、血管新生作用や肉芽形成促進作用を示します。国内での効能又は効果は、褥瘡および皮膚潰瘍のうち熱傷潰瘍・下腿潰瘍です。熱傷そのものではなく、潰瘍がある熱傷が対象である点に注意が必要です。厚生労働省「フィブラストスプレー250 薬剤情報」


乾燥・角化への外用薬


尿素製剤は、皮膚に水分を保持させ、硬くなった角質をやわらげる目的で使われます。医療用の尿素クリームには、魚鱗癬、老人性乾皮症、アトピー皮膚、進行性指掌角皮症、足蹠部皸裂性皮膚炎、掌蹠角化症、毛孔性苔癬などを効能又は効果とする製品があります。粘膜や傷の深い部位などには使えない場合があり、しみる・赤くなるなどの刺激が強い場合は使用状況を見直します。尿素クリームの添付文書情報


ヘパリン類似物質製剤は保湿目的で広く使われますが、出血性の病変やびらん・潰瘍面などでは注意が必要な製品があります。外用薬は、塗る場所、皮膚の状態、感染の有無、使用量や期間を医師・薬剤師の指示に沿って確認します。


発毛を目的とする治療の違い


円形脱毛症は、自己免疫の関与が考えられる脱毛症です。重症の円形脱毛症では、JAK阻害薬であるバリシチニブやリトレシチニブなどが、国内で承認された適応に基づき選択されることがあります。感染症、血栓症、血液検査値の異常などに注意し、治療中は定期的な診察・検査が必要です。


フィナステリドやデュタステリドは、男性における男性型脱毛症に用いる内服薬です。女性や小児への適応は製品により異なり、妊娠中または妊娠の可能性がある人に関する注意も重要です。脱毛の原因を区別せずに使う薬ではありません。なお、国内未承認の内服ミノキシジルを発毛目的の代表例として扱うことはできません。


受診につなげるサイン


  • 傷の赤み、腫れ、熱感、悪臭、膿、痛みの増加、発熱がある場合は感染を含めた診察が必要です。

  • 糖尿病、血流障害、免疫抑制状態がある人の足の傷・潰瘍は、早めの専門的評価が重要です。

  • 急速に広がる脱毛、眉毛・まつ毛を含む脱毛、爪の変化、強いかゆみや炎症を伴う場合は皮膚科へ相談します。

  • 発毛治療では、効果判定だけでなく、副作用や脱毛の別の原因を確認するための経過観察が必要です。

  • 市販薬、育毛剤、サプリメントを使っている場合も、治療開始前に医療者へ伝えます。


参考情報:PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」