栄養・ビタミン・ミネラルを補う薬

栄養・ビタミン・ミネラルを補う薬

栄養・ビタミン・ミネラルを補う薬は、食事だけでは不足を補いにくい状況や、病気・治療により特定の栄養素が欠乏した状況で用いる医療用医薬品です。栄養状態の低下は、筋力低下、傷の治りにくさ、感染症への抵抗力低下、治療の継続しにくさなどに関係するた

栄養・ビタミン・ミネラルを補う薬


栄養・ビタミン・ミネラルを補う薬は、食事だけでは不足を補いにくい状況や、病気・治療により特定の栄養素が欠乏した状況で用いる医療用医薬品です。栄養状態の低下は、筋力低下、傷の治りにくさ、感染症への抵抗力低下、治療の継続しにくさなどに関係するため、原因を評価しながら補給方法を選びます。


栄養補給は、自己判断でサプリメントを増やすこととは異なります。不足している栄養素、消化管が使えるか、飲み込む力、腎臓や肝臓の状態、水分制限の必要性、ほかの薬との関係などで、経口薬、経腸栄養剤、末梢静脈からの輸液、中心静脈栄養などの選択が変わります。製品ごとに承認された用途は異なります。





種類 成分の例 用途と役割
経口・経腸栄養剤 半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤 経口摂取が不十分なとき、消化管を利用してエネルギー、たんぱく質、脂質、ビタミンなどを補う
末梢静脈栄養用輸液 ブドウ糖、アミノ酸、電解質、ビタミンB1を含む配合輸液 一時的な栄養補給などで、末梢静脈から投与する
中心静脈栄養用輸液 高濃度ブドウ糖、アミノ酸、電解質を含む高カロリー輸液 消化管から十分な栄養をとれない場合に、静脈から必要な栄養を補う
鉄製剤 クエン酸第一鉄ナトリウム、フマル酸第一鉄、含糖酸化鉄 鉄欠乏性貧血などで鉄を補給し、赤血球をつくる材料を補う
葉酸製剤 葉酸 葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血などで、不足する葉酸を補う
ビタミンD製剤 アルファカルシドール、カルシトリオール、エルデカルシトール 骨代謝やカルシウム調節に関わり、疾患や製品ごとの適応に沿って用いる


栄養の補い方は一つではない


食べることが可能で消化管が機能している場合は、一般に経口または経腸による栄養補給が優先して検討されます。経腸栄養剤には、たんぱく質を比較的大きな形で含む半消化態、消化吸収しやすい形にした消化態、アミノ酸などを主体とする成分栄養剤があります。疾患、消化吸収の状態、下痢・腹部症状の有無、必要な栄養量に応じて選ばれます。


静脈栄養は、腸が使えない・使いにくい場合や、経口・経腸栄養だけでは不足する場合に検討されます。末梢静脈栄養は浸透圧などの制約があるため、高濃度で長期的な栄養補給が必要な場合には中心静脈栄養が検討されることがあります。ビーフリード輸液は、アミノ酸・糖・電解質・ビタミンB1を含む末梢静脈投与用の製剤であり、中心静脈内投与は承認された用法ではありません。大塚製薬工場「ビーフリード輸液 製品詳細」


ビタミン・ミネラル製剤の位置づけ


鉄剤は、鉄欠乏が関与する貧血に対して使われますが、貧血のすべてが鉄不足とは限りません。炎症、腎機能低下、出血、ビタミンB12や葉酸の不足、骨髄の病気など原因は多様です。鉄剤を始める前後には、血算や鉄関連の検査などを踏まえて医療者が判断します。


葉酸やビタミンB12は、赤血球をつくる過程に関わります。また、葉酸関連薬のうちホリナートカルシウムは、葉酸欠乏を補うだけでなく、メトトレキサートの作用を軽減する目的や、フルオロウラシル系薬の治療で用いる場合があり、同じ「葉酸関連」として単純に置き換えられません。


カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛なども、不足・過剰のいずれも問題になり得ます。腎機能が低下している場合や、利尿薬、胃酸分泌抑制薬、骨粗鬆症治療薬などを使用している場合には、補給の必要性と量を個別に確認します。


注意点


  • 栄養輸液では、血糖、電解質、肝機能、腎機能、体液量などを定期的に確認します。

  • 急速な栄養補給で電解質異常などが起こる再栄養症候群に注意が必要なことがあります。高度な低栄養では特に慎重な評価が行われます。

  • 鉄剤では、胃部不快感、便秘、下痢、便色の変化などが起こることがあります。静注鉄剤では過敏症にも注意します。

  • 高カロリー輸液や中心静脈カテーテルには、感染、血栓、カテーテル関連の合併症のリスクがあります。

  • 市販サプリメントを含め、重複摂取は避ける必要があります。ビタミンやミネラルも過剰では健康被害につながる場合があります。


参考情報:PMDA「医療用医薬品 添付文書等情報検索」


参考情報:日本臨床栄養代謝学会「静脈栄養:水・電解質輸液、電解質製剤」