

ビオスリーは、ラクトミン、糖化菌、酪酸菌を配合した医療用の活性生菌製剤です。販売名はビオスリー配合散、ビオスリー配合錠、ビオスリー配合OD錠の3剤形であり、製造販売元は東亜薬品工業、販売は鳥居薬品です。電子添文上の効能又は効果は「腸内菌叢の異常による諸症状の改善」とされています。
腸内細菌叢の変化が疑われる下痢、便通異常、腹部症状などに対し、整腸目的で処方されることがある薬剤です。ただし、症候に対して漫然と長期継続するのではなく、感染性腸炎、炎症性腸疾患、薬剤性下痢、悪性疾患、器質的病変など、背景疾患の評価が必要な症例を見逃さない姿勢が重要です。特に血便、発熱、体重減少、夜間症状、強い腹痛、脱水、症状遷延などがある場合には、整腸剤の追加・継続のみで経過をみることの妥当性を再評価します。
薬価を確認する際には、一般用医薬品として流通する名称が類似した整腸薬と、保険診療で用いる医療用医薬品のビオスリー配合剤とを混同しないことが必要です。本稿で扱う薬価は、医療用医薬品として薬価基準に収載されているビオスリー配合散、配合錠、配合OD錠の単位薬価です。
PMDA:ビオスリー配合散・配合錠・配合OD錠の医療用医薬品情報
ビオスリー配合散の薬価は1g当たり8.4円、ビオスリー配合錠およびビオスリー配合OD錠の薬価は各1錠当たり6.6円です。散剤と錠剤・OD錠では規格単位が異なるため、単に単位薬価だけを横並びで比較するのではなく、処方日数と実際の1日投与量を掛け合わせて評価します。
通常成人の用法用量は、配合散では1日1.5~3gを3回に分割経口投与、配合錠および配合OD錠では1日3~6錠を3回に分割経口投与です。年齢や症状により適宜増減されます。したがって、低用量域では散剤1.5g/日と錠剤3錠/日、高用量域では散剤3g/日と錠剤6錠/日という処方を想定し、薬剤費を試算すると実務上の比較がしやすくなります。
| 剤形 | 薬価基準上の規格・単位薬価 | 通常成人の1日量と薬剤費の目安 |
|---|---|---|
| ビオスリー配合散 | 1g当たり8.4円 | 1.5~3g/日:12.6~25.2円/日 |
| ビオスリー配合錠 | 1錠当たり6.6円 | 3~6錠/日:19.8~39.6円/日 |
| ビオスリー配合OD錠 | 1錠当たり6.6円 | 3~6錠/日:19.8~39.6円/日 |
例えば、配合錠を1日3錠で30日処方する場合、薬価ベースの薬剤費は6.6円×3錠×30日で594円です。1日6錠で30日処方する場合は1,188円となります。一方、配合散を1日1.5gで30日処方する場合は378円、1日3gで30日処方する場合は756円です。これらは薬価に基づく薬剤費の計算であり、患者負担額は負担割合、公費負担、各種制度の適用状況により異なります。また、医療機関・薬局における診療報酬・調剤報酬上の請求額全体とは一致しません。
KEGG MEDICUS:ビオスリー配合剤の薬価・規格情報
ビオスリー配合錠とビオスリー配合OD錠は、いずれも1錠6.6円であり、標準用量が同じであれば薬価ベースの薬剤費も同額です。したがって、両者の選択に際しては価格差よりも、服用方法、口腔内崩壊というOD錠の特性、患者の嚥下状態、服薬の自己管理能力、介助者の負担などが中心的な判断材料になります。
配合OD錠は、舌の上で唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしでも服用できます。ただし、口腔粘膜から吸収される製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むことを患者に説明します。水分摂取量の制限がある患者、口腔乾燥が強い患者、服薬時にむせ込みがみられる患者などでは、「OD錠だから安全に服用できる」と単純化せず、個々の嚥下機能や服薬状況を確認することが必要です。
薬価比較では、1日単価だけでなく、残薬発生の可能性、服薬回数、分包や一包化の適性、介護現場での取り扱い、院内採用規格との整合性も考慮します。たとえば、錠剤を服用できないために毎回粉砕操作が必要となる場合、錠剤の単位薬価が低く見えても、服薬安全性や業務負荷まで含めた実質的な利便性は低下し得ます。
ビオスリー配合剤の処方監査では、まず剤形、1回量、1日回数、日数を確認し、薬価計算の前提となる用法が電子添文の通常用量と整合しているかをみます。配合散は1日1.5~3g、配合錠・配合OD錠は1日3~6錠を、いずれも3回に分割して投与するのが通常成人の用法です。高齢者、小児、摂食・嚥下機能が低下した患者、ポリファーマシー患者では、単に用量だけでなく実際に服用可能な剤形かどうかを確認します。
薬歴上は、抗菌薬の併用、下剤・止瀉薬の使用、経腸栄養剤の変更、入院・施設入所による食事内容や排便環境の変化などを確認します。整腸薬が処方されていること自体は原因疾患を特定するものではないため、いつからどのような便性状・排便回数の変化があるのか、腹痛・発熱・嘔吐・血便の有無、脱水徴候、体重変化なども聴取対象です。
服薬指導では、薬剤の目的を「腸内環境の異常に伴う症状の改善を目的とする薬」と平易に説明し、自己判断で他の整腸薬や下痢止めを重ねて使用しないよう確認します。症状が改善しない、悪化する、便に血が混じる、高熱や強い腹痛がある、著しい脱水が疑われる場合には、処方元または医療機関へ速やかに相談するよう案内します。
また、薬価を患者へ説明する際は、「1錠6.6円」「1g8.4円」は薬価基準上の価格であり、窓口での支払額そのものではないことを明確にします。薬局での自己負担額には、患者の保険負担割合に加え、処方箋調剤に関する費用が関係します。費用質問には、薬剤費、処方日数、自己負担割合を分けて説明することで誤解を避けられます。
薬価は薬価改定や再算定などによって将来変動し得るため、記事、院内資料、患者説明文書、採用薬比較表に数値を記載する際は、確認日と参照元を記録しておくことが重要です。現時点で確認できる薬価は、ビオスリー配合散が8.4円/g、ビオスリー配合錠が6.6円/錠、ビオスリー配合OD錠が6.6円/錠です。医療機関での運用では、マスター更新時期と院内オーダリングシステム上の登録内容にも注意します。
参考)医療用医薬品 : ビオスリー (ビオスリー配合散 他)
情報確認の基本は、PMDAの電子添文で効能効果、用法用量、使用上の注意、適用上の注意を確認し、薬価については最新の薬価基準収載品目リストや信頼できる医薬品情報データベースで照合することです。メーカーの医療関係者向け製品情報では、製剤外観、包装規格、承認・収載情報も確認できます。ビオスリー配合錠は薬価基準収載医薬品コード2316017F1035であり、1錠6.60円として案内されています。
参考)医療関係者の皆様へ|鳥居薬品
ビオスリーの剤形選択では、散剤の薬剤費が標準用量の範囲で錠剤系より低くなる傾向がある一方、費用だけで最適な剤形は決まりません。処方目的、患者の年齢、嚥下能力、認知機能、服薬支援体制、残薬リスク、病棟・施設・在宅でのオペレーションを踏まえ、継続可能で安全な服用方法を優先して判断することが、薬価情報を臨床実務に生かす要点です。
鳥居薬品:ビオスリー配合錠の製品情報

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