


「冷え性漢方ツムラ38」で検索される製剤は、ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒(医療用)です。読み方は「とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう」であり、ツムラの識別番号では38番に該当します。医療用医薬品として処方される漢方製剤であり、市販薬を含めた一般的な「冷え性薬」と同一視せず、添付文書上の適応と患者の証を踏まえて使用する必要があります。
参考)PMDA 医療用医薬品情報 医療関係者向け
添付文書における効能又は効果は、「手足の冷えを感じ、下肢が冷えると下肢又は下腹部が痛くなり易いもの」のうち、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛です。したがって、単に「寒がり」「末端が冷える」という訴えだけで機械的に選択する処方ではありません。冷感の部位、寒冷曝露との関係、疼痛部位、痛みの誘発・増悪因子、しもやけの有無を具体的に聴取し、添付文書の病態像に合致するかを評価することが重要です。
参考)302 Found
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、当帰四逆湯に呉茱萸と生姜を加えた処方です。構成生薬には、タイソウ、ケイヒ、シャクヤク、トウキ、モクツウ、カンゾウ、ゴシュユ、サイシン、ショウキョウが含まれます。生薬成分の重複は、他の漢方製剤を追加する際の見落としやすいリスクであり、処方薬、一般用医薬品、健康食品・サプリメントの利用状況まで確認する姿勢が求められます。
PMDA 医療用医薬品情報:ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒(医療用)
ツムラ38を検討する場面では、「下肢を中心とする強い冷え」と「冷えに伴って起こる、または悪化する痛み」の組み合わせを軸に整理します。たとえば、冬季や冷房環境で足先から下腿が著明に冷え、下腹部痛、腰痛、頭痛、しもやけが悪化するという経過は、適応を検討するための臨床情報になります。一方、熱感、口渇、顔面紅潮、炎症を示唆する局所所見が強い場合や、冷感の背景に器質的疾患が疑われる場合には、安易に漢方の証だけで説明しないことが必要です。
冷えは患者にとって日常的な症状である一方、末梢循環障害、甲状腺機能低下症、貧血、糖代謝異常に伴う末梢神経障害、膠原病、末梢動脈疾患、薬剤性、栄養状態低下など、多様な病態と関連し得ます。レイノー現象を思わせる色調変化、片側性の症状、安静時疼痛、皮膚潰瘍、急速な増悪、発熱、体重減少、月経異常の急な変化などがあれば、原疾患の評価を優先します。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 冷えの分布 | 手足や下肢、とくに末端の冷えが明瞭か | ツムラ38では下肢の冷えと症状の関連を確認する |
| 疼痛との関連 | 冷えると下肢、下腹部、腰部、頭部の痛みが生じやすいか | 添付文書の病態像との整合性をみる |
| 随伴症状 | しもやけ、下腹部痛、腰痛、頭痛の有無 | 適応症として明記されている |
| 体質・証 | 体質、症状、腹証、冷えの程度、消化器症状などを総合評価する | 添付文書は証を考慮した投与を求めている |
| 除外・鑑別 | 血管障害、内分泌疾患、貧血、神経障害、膠原病などの可能性 | 赤旗所見や非典型例では必要な検査・専門科連携を行う |
なお、月経痛や骨盤部の冷えを背景に本剤が検討されることはありますが、激しい月経痛、過多月経、性交痛、不妊症、不正出血などがある場合は、子宮内膜症、子宮筋腫、骨盤内炎症性疾患などの婦人科疾患も念頭に置きます。冷えという表現のみで病態を単純化せず、年齢、妊娠可能性、妊娠希望、月経歴、既往歴、検査歴を確認することが安全な診療につながります。
ツムラ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキス顆粒(医療用)の通常用量は、成人で1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与です。年齢、体重、症状により適宜増減されます。分包製剤では1包2.5gであるため、標準的な1日量は3包に相当しますが、実際の処方量・回数は処方箋および医師の指示に従うよう説明します。
服薬指導では、「食間」は食事中ではなく、一般に食後およそ2時間を目安とする空腹時を指すことを確認します。ただし、服薬タイミングの遵守が難しい患者では、自己判断による中断や不規則な内服を防ぐことも重要です。服薬アドヒアランス、胃腸症状の有無、他剤との服薬スケジュールを確認し、処方医・薬剤師の指示の範囲内で継続しやすい方法を調整します。
漢方薬は「自然由来だから副作用が少ない」「冷えには長期間飲み続けるもの」と誤解されることがあります。しかし、添付文書では患者の証を考慮し、症状・所見の改善が認められない場合には継続投与を避けるよう記載されています。投与開始後は、単なる主観的な冷感だけでなく、疼痛、皮膚所見、生活障害、睡眠、活動性などを定期的に評価し、継続・変更・中止を判断することが大切です。
ツムラ38にはカンゾウ(甘草)が含まれます。そのため、偽アルドステロン症および低カリウム血症に伴うミオパチーが重大な副作用として記載されています。偽アルドステロン症では、血圧上昇、浮腫、体重増加、ナトリウム・体液貯留、低カリウム血症などに注意します。ミオパチーでは、脱力感、四肢のけいれん、麻痺などが出現し得るため、患者自身が早期に異常を申告できるよう、具体的な症状を示して指導します。
とくに、カンゾウ含有製剤、グリチルリチン酸またはその塩類を含む製剤、ループ系利尿薬、チアジド系利尿薬との併用では注意が必要です。添付文書では、これらの併用により偽アルドステロン症が現れやすくなり、低カリウム血症を介してミオパチーも現れやすくなることが示されています。患者が複数医療機関を受診している場合、他院処方の漢方薬や市販薬まで含めた薬剤確認が不可欠です。
そのほか、発疹、発赤、そう痒などの過敏症、AST・ALT上昇などの肝機能異常、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などの消化器症状も副作用として記載されています。著しく胃腸が虚弱な患者ではこれらの消化器症状が現れることがあり、既に食欲不振、悪心、嘔吐がある患者では症状を悪化させるおそれがあります。服薬開始後の食欲・便通・嘔気の変化を確認し、症状出現時は投与中止を含めて適切に対応します。
血圧高値、浮腫、体重増加、筋力低下、四肢のつり、強い倦怠感などがあれば、偽アルドステロン症および低カリウム血症を疑い、速やかに服薬状況と併用薬を確認します。定期的な血圧測定に加え、リスクが高い患者や症状が疑われる患者では血清カリウム値の測定を検討し、異常時には本剤を中止して適切な処置を行います。
妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限ると添付文書に記載されています。冷え、下腹部痛、腰痛は妊娠期にもみられる症状ですが、切迫流産・早産、異所性妊娠、感染症、尿路疾患など、緊急性のある病態の可能性を見落とさないことが優先されます。妊娠可能性や妊娠週数を確認し、産婦人科との連携を含めて慎重に評価します。
授乳婦では、治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討するとされています。小児等を対象とした臨床試験は実施されていません。高齢者では一般に生理機能が低下しているため、減量するなど注意して投与します。高齢患者では、利尿薬、降圧薬、複数の漢方製剤、便秘薬などが併用されている可能性も高く、電解質異常や血圧変動を見逃さないための薬剤整理がより重要になります。
ツムラ38の臨床的な位置付けは、「冷え性」という広い訴えに一律に処方することではなく、強い手足・下肢の冷えを背景に、冷えで誘発・悪化しやすい下肢痛、下腹部痛、腰痛、頭痛、しもやけを呈する患者で、証と安全性を確認しながら選択することにあります。開始後には症状改善の有無を明確に評価し、改善に乏しい場合、消化器症状が強い場合、低カリウム血症を示唆する症状がある場合には、漫然と継続せず治療方針を再検討します。
【第3類医薬品】ハイチオールCプラス2 360錠