外来管理加算は、区分番号「A001 再診料」の注8に規定される基本診療料の加算です。入院中以外の患者に対し、一定の検査や処置等を行わず、計画的な医学管理を行った場合に、再診料へ加算します。令和8年度診療報酬改定後も外来管理加算は52点であり、再診料76点と併せると、基本となる算定は128点です。
この加算は、単なる継続処方や短時間の症状確認を評価するものではありません。検査・処置を伴わない外来診療においても、医師が患者の訴えを把握し、必要な身体診察を行い、その結果に基づいて病状、治療経過、療養上の注意を丁寧に説明するという、計画的な医学管理の実施を評価する仕組みです。
令和8年度の医科診療報酬点数表では、外来管理加算は「入院中の患者以外の患者」に対し、慢性疼痛疾患管理並びに所定の検査、リハビリテーション、精神科専門療法、処置、手術、麻酔、放射線治療を行わず、計画的な医学管理を行った場合に算定するとされています。令和8年度改定において、外来管理加算の点数および基本的な要件は維持されています。厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)
なお、外来管理加算には、地域包括診療加算のような専用の施設基準届出は求められていません。ただし、届出が不要であることは、要件確認や診療録記載が不要であることを意味しません。個々の診療日に、患者の状態、実施した診療内容、同日算定した検査・処置等を確認し、要件に適合する場合のみ算定する運用が必要です。
外来管理加算を算定する際、医師には丁寧な問診と詳細な身体診察が求められます。身体診察には、患者の状態に応じた視診、聴診、打診、触診等が含まれます。その上で、診察結果を踏まえて患者の症状を再確認し、病状や療養上の注意点を懇切丁寧に説明します。
通知で示される診療内容は、すべてを画一的に実施することを求めるチェックリストではありません。患者の病状、受診目的、治療経過等に照らし、必要と思われる項目を実施することが前提です。しかし、問診も身体診察もなく、処方の継続だけを行う診療は、外来管理加算の対象になりません。
| 項目 | 基準・内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 対象患者 | 入院中以外の患者に対する再診 | 初診料を算定する診療では算定しない |
| 点数 | 52点 | 再診料に加算する |
| 問診 | 患者の訴えを聴取し、内容を総括する | 症状の変化、服薬状況、生活状況等を確認する |
| 身体診察 | 状態に応じて視診、聴診、打診、触診等を実施する | 診察所見と医学的判断を患者に説明する |
| 療養指導 | 治療経過を踏まえ、療養上の注意等を説明・指導する | 生活上の注意、受診目安、服薬等を具体化する |
| 診療録記載 | 患者からの聴取事項、診察所見の要点を記載する | 実施した説明・指導の内容も具体的に残す |
診療録には、少なくとも患者の訴え、症状の経過、身体所見、医学的評価、患者への説明、療養指導の要点が読み取れる記載を残します。「定期診察」「前回同様」「処方継続」「説明済み」といった抽象的な定型文だけでは、計画的な医学管理を実施したことを診療録から確認しにくくなります。
例えば、高血圧症の再診では、「家庭血圧は朝125~135/75~85mmHg、めまい・動悸なし。診察室血圧132/80mmHg、心音整、下腿浮腫なし。現処方でコントロール良好と説明。塩分摂取、家庭血圧測定の継続、ふらつき・著明な血圧変動時の早期受診を指導。薬剤への不安なし」といった形で、当日の実施内容に即した記載が考えられます。実際の記載では、患者固有の症状、所見、説明内容に合わせて具体化することが重要です。
外来管理加算では、同日に実施する診療行為が算定可否を大きく左右します。処置、手術、麻酔、リハビリテーション、精神科専門療法、放射線治療を行った場合には、外来管理加算は算定できません。また、特定の生体検査も算定不可となる対象です。会計時だけでなく、診察前、検査オーダー時、レセプト点検時に同日行為を横断して確認できる運用を整える必要があります。
電話等による再診では、再診料自体を算定できる場面がありますが、外来管理加算は別です。外来管理加算の要件となる詳細な身体診察を実施できないためです。同様に、情報通信機器を用いた再診についても、外来管理加算は算定できません。再診料を算定できることと、外来管理加算を算定できることは同義ではない点を、医師、医療事務、クラーク、看護職員の間で共有しておくべきです。
clinicalsup(https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_1_1_2/a001.html)
一方、往診料を算定した場合であっても、再診料に加えて外来管理加算を算定できる取扱いがあります。ただし、往診先での診療が、計画的な医学管理としての問診、必要な身体診察、説明・指導、診療録記載の要件を満たしていることが前提です。往診であることのみを理由に自動算定するのではなく、当日の診療実態に基づいて判断します。
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外来管理加算の実務では、医師個人の判断だけでなく、院内の情報連携が重要です。特に複数診療科を標榜する医療機関では、患者が同日に複数科を受診し、どこか一つの診療科で処置や手術等を実施すると、他科で外来管理加算を算定できません。診療科ごとに会計が分かれていても、保険医療機関として同一日の診療内容を把握する必要があります。
例えば、内科では高血圧症の対面再診を行い、問診、心肺の診察、生活指導を実施した一方、同日に整形外科で処置を行ったケースを考えます。内科の診療内容だけを見れば外来管理加算の要件を満たすように見えても、同一医療機関の別診療科で処置が行われているため、内科で外来管理加算を算定することはできません。受付、診療予約、検査・処置部門、会計、レセプト部門をまたぐ確認が必要です。
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実務上は、レセコンの自動算定設定だけに依存しないことが重要です。システムが候補として加算を表示しても、医学的管理の実施内容や同日他科の実施行為まで完全に判断できるとは限りません。医師が診療録に要件を満たす診療内容を記載し、医療事務が同日行為の禁忌チェックを行い、請求担当が月次点検で記録との整合性を確認するという多層的な運用が有効です。
確認フローは、過度に複雑にすると現場で定着しません。「対面再診か」「問診・身体診察・説明指導を実施したか」「対象外の検査・処置等が同日にないか」「診療録に要点があるか」の4点を、診療後から請求前までに確認する仕組みにすると、日常診療へ組み込みやすくなります。
外来管理加算の適正算定では、算定のために診療を形式化するのではなく、実施した診療を正確に記録し、その結果として要件を満たす場合に算定する姿勢が基本です。患者との対話、身体診察、説明・指導は診療の質そのものであり、診療録はその内容を後から確認可能にする重要な記録です。
診察室での確認例としては、「症状は前回からどう変化したか」「服薬による副作用や生活上の支障はないか」「今回必要な身体診察は何か」「所見からどのように判断したか」「患者が自宅で気を付けること、受診を急ぐべき症状は何か」「患者に残る不安や疑問はないか」という流れが有用です。すべてを毎回同一の表現で記載するのではなく、患者の病態と当日の診療内容に即して記載します。
急性上気道炎の経過観察であれば、「発熱は解熱、咳は夜間に軽度残存、呼吸苦なし。咽頭発赤は軽快、頸部リンパ節腫脹なし、呼吸音清、喘鳴なし。ウイルス感染後の咳嗽遷延の可能性を説明し、水分摂取、室内加湿、禁煙、息苦しさ・再発熱・咳嗽増悪時の受診を指導。患者から質問なし」といったように、問診、身体所見、判断、療養指導を一連で残します。
慢性疾患で状態が安定している患者でも、外来管理加算は一律に算定できるわけではありません。安定しているからこそ、服薬アドヒアランス、血圧・体重等の自己測定、食事・運動・飲酒・喫煙、合併症を疑う症状、受診間隔の妥当性などを確認し、医学的な判断と患者に応じた指導を行うことが求められます。単なる「変わりなし、処方継続」ではなく、当日の医学管理の中身が診療録から分かる状態を目指します。
外来管理加算は、診療報酬請求上の取りこぼしを防ぐためだけの項目ではありません。不要な検査や処置の有無を整理しながら、対面診療における患者理解、身体診察、説明、療養支援を適切に実施・記録するための視点になります。改定や疑義解釈は随時更新されるため、最終的な算定判断では、厚生労働省が公表する最新の点数表、留意事項通知、疑義解釈資料および所属地域の厚生局情報を確認してください。令和8年度診療報酬改定の告示・通知・疑義解釈資料 mhlw.go(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)